MENU

【完全解説】バイオスティミュラントとは?肥料・農薬との違いから市場動向まで

  • URLをコピーしました!

こんにちは、大田です。

今回は、最近農業分野で注目を集めている「バイオスティミュラント」についてご紹介したいと思います。

私たちファームテック株式会社では、この革新的な植物活性剤の研究・開発に取り組んでいますが、まだ馴染みの薄い方も多いのではないでしょうか?

目次

■バイオスティミュラントとは

バイオスティミュラントは、植物の生理機能を向上させ、特に非生物的ストレスに対する耐性を高める新しい農業資材です。

植物の栄養吸収能力や代謝機能を改善し、作物の生育を促進する働きを持っています。

簡単に言うと、バイオスティミュラントは「植物の持っている力を引き出してあげる」農業資材です。

例えば、暑さや寒さ、水不足などのストレスから植物を守ったり、根の働きを良くして養分をしっかり吸収できるようにしたりする効果があります。

私たちがスポーツドリンクを飲んで体調を整えるように、植物にもそういった「サポート」が必要なのです。

バイオスティミュラントは、まさにその役割を果たしてくれる心強い味方なのです。

バイオスティミュラントには、以下のような種類があります
・アミノ酸系:タンパク質の基となるアミノ酸成分を利用
・腐植酸系:土壌の有機物から抽出した成分を使用
・海藻由来:海藻から抽出した天然成分を活用
・微生物系:有用な微生物の働きを活用
・酵素系:酵素成分の働きを活用

■主な効果

  1. ストレス耐性アップ
    暑さ、寒さ、塩害などの環境ストレスに強くなります。近年の異常気象に負けない、たくましい作物づくりをサポートしてくれます。
    具体的な効果:
    ・真夏の高温障害を軽減
    ・冬場や春先の低温に対する耐性向上
    ・干ばつ時の水分ストレス緩和
    ・塩害による生育障害の防止
  2. 栄養吸収力アップ
    発根を促し根の働きを活発にして、水や肥料の吸収力を高めます。これにより、肥料の無駄も減らせて環境にも優しいんです。
    期待できる効果:
    ・根の張りが良くなり、養分をしっかり吸収
    ・土壌中の有用な微生物が増加
    ・肥料の利用効率が向上 ←エビデンスが不明確なので数字は削除
    ・水分の保持力が改善
  3. 光合成力アップ
    葉の状態を良くして、光合成の効率を高めます。その結果、収穫量や品質の
    向上が期待できます。
    主な改善点:
    ・葉色が濃くなり、光合成が活発に
    ・茎が太く、丈夫な作物に
    ・果実の糖度が向上
    ・収穫量が平均10-15%程度増加

■肥料や農薬との違いは?

バイオスティミュラントと肥料、農薬は、それぞれ異なる目的と作用メカニズムを持つ農業資材です。

【主な役割と特徴】

肥料は、植物の生育に必要な栄養素を補給する資材です。

窒素、リン酸、カリウムなどの必須要素を直接的に供給することで、作物の成長を支えます。

施用量と効果は明確な相関関係があり、過剰な使用は残留を生じ、作物の生育障害や環境への負荷につながる可能性があります。

農薬は、病害虫や雑草などの有害生物から作物を保護するための薬剤です。

対象となる有害生物に直接作用して防除する特徴があります。

その効果は即効性があり、使用方法も農薬取締法によって厳密に定められています。

主な目的は、病害虫や雑草による生物的ストレスから作物を守ることにあります。

一方、バイオスティミュラントは、植物本来の生理機能を活性化し、特に非生物的ストレスへの耐性を高める資材です。

直接的な栄養補給や病害虫の防除は行いませんが、植物の養分吸収能力や代謝機能を改善することで、健全な生育をサポートします。

効果は徐々に現れ、使用方法の自由度も比較的高いのが特徴です。

3つの違いをまとめると

・目的:
肥料→栄養分の供給
農薬→有害生物や病気の防除
バイオスティミュラント→生理機能の活性化

・効果の現れ方:
肥料→比較的早く効果が出る
農薬→即効性がある
バイオスティミュラント→徐々に効果が現れる

・使用上の特徴:
肥料→適正量の管理が重要
農薬→法律による厳密な規制
バイオスティミュラント→使用の自由度が高い

分かりやすく例えると、肥料は作物の「栄養」となるご飯やサプリメント、農薬は病気や害虫から作物を「守る」お医者さんや薬、そしてバイオスティミュラントは作物の「体力」を上げるトレーナーのような存在です。

具体的には、肥料は必要な栄養を直接与え、農薬は病気や害虫を直接防除します。

これに対してバイオスティミュラントは、植物が本来持っている力を引き出し、より健康で強い作物へと育てていく役割を果たします。

■市場規模と将来性

バイオスティミュラント市場は、環境保全型農業への世界的な関心の高まりを背景に、いま急速な成長を遂げています。

【世界市場の動向】

世界のバイオスティミュラント市場は、2024年には約40億6,000万ドル(約6,000億円)の規模に達しています。

今後も着実な成長が予測されており、2029年には66億ドル(約1兆円)まで拡大する見通しです。

この成長率は年平均10.21%という高い水準で、従来の農業資材と比べても際立った伸びを示しています。

特に欧州では、環境負荷の少ない農業の実現に向けて、化学肥料や農薬の使用削減が積極的に進められており、バイオスティミュラントの導入が加速しています。

【日本市場の現状】

日本国内においても、バイオスティミュラントへの期待は高まっています。

2024年度の市場規模は99億2,000万円で、2030年度には136億1,000万円まで成長すると予測されています。

この背景には、世界的な肥料価格の高騰や気候変動、そして持続可能な農業への移行という国としての大きな課題があります。

【市場成長の主な要因】
・化学肥料の価格高騰による代替需要
・環境保全型農業の世界的な広がり
・異常気象に対する作物保護の必要性
・食の安全・安心への消費者意識の高まり
・国のみどりの食料システム戦略による後押し

この成長を支える技術革新も進んでおり、より効果的な製品開発や使用方法の確立が、市場拡大をさらに加速させると考えられています。

■導入のメリット

  1. 経営面での利点
    ・肥料コストの削減
    ・収量・品質の向上
    ・労力の軽減
  2. 環境面での利点
    ・化学肥料の使用量削減
    ・土壌環境の改善
    ・持続可能な農業の実現
  3. 技術面での利点
    ・既存の栽培体系に組み込みやすい
    ・他の資材との併用が可能
    ・年間を通じて活用可能

■これからの農業に欠かせない存在に

環境に優しい持続可能な農業が求められる中、バイオスティミュラントの重要性は今後さらに高まっていくでしょう。

特に日本では、農水省の「みどりの食料システム戦略」の中でも新技術として注目されています。

私たちファームテック株式会社は、SDGs達成を念頭に、より使いやすく効果の高いバイオスティミュラント製品の開発を進めています。

皆様の農業経営に役立つ製品を提供できるよう、日々研究を重ねていますので、ぜひご期待ください。

具体的な活用方法や導入についてのご相談は、お気軽にお問い合わせください。

経験豊富な専門スタッフが、作物や栽培条件に合わせた最適な使用方法をご提案させていただきます。

これからも、農家の皆様のお役に立つ情報を発信していきますので、よろしくお願いいたします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

【プロフィール】

・出身: 1963年 大分県生まれ
・学歴: 国学院大学 卒業

【職務経歴】

・1987年: 株式会社日本実業出版社 入社
・1998年:西日本産業(株)にて主に九州管内で農業資材の開発、営業を担当。
・2009年: フリーの農業記者として食や農に関するイベント、放送番組等の
企画制作に携わる。
・2021年: ファームテック株式会社 代表取締役 就任

【主な役職・活動】

・2010年: 食農コンソーシアム大分(大分県内の若手農業者団体)代表
・2021年:大分県立久住高原農業高等学校 学校評議委員、マイスターハイスクールCEO

【研究・セミナー実績】

・共同研究:ユズ果皮が持つ抗アレルギー能と隔年結果の改善(2009年:大分大学)

・セミナー講師:

「農で生きる・農で生かす」(2012年:大分大学)
「昨今の農業ブームについて考える」(2014年:大分県農商工連携センター)

【メディア事業】

・ラジオ: OBSラジオ「甲斐蓉子の教えて!農業」(2009年7月~)
・テレビ: OBSテレビ「Hadge Padge TV」(2021年4月~)

目次